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職人と作るオリジナルの一足
中学生の頃、なけなしのお小遣いを貯めてカンガルー革のスパイクを買い、大人の階段を上がった気分になったことがある人、黒以外の色のスパイクが出た時に誰よりも早く手に入れて自慢していたという人は多いのではないでしょうか?その頃から比べると、最近は自分の好みに合わせて色やデザインを自由にカスタムしたオリジナルの一足を作れるようになり、随分便利になりました。最近ではニット素材のものやシューレースのないものなど、技術の発展に伴いスパイクもどんどん変化してきていますが、お気に入りの一足を大切に履きたい気持ちは今も昔も変わりません。

せっかくお気に入りの一足を手に入れても、サイズが少し違って履き心地に違和感を感じたり、破れたりしてなくなく処分してしまったことはないでしょうか?そんな経験がある人は、サッカーショップKAMO原宿店の地下にあるadidas Craftsman Center(アディダスクラフトマンセンター)へ。ここに行けばそんな問題を解決してくれます。世界中を見渡しても珍しいこのクラフトマンセンターについて、スパイクカスタマイザーの上野浩二さんにお話を伺いました。
adidas CRAFTMAN CENTER
1. 使い古されつま先が開いたスパイク
2. 様々な色のスパイクに対応出来るよう揃えられたカラフルな糸
カスタムする
—このクラフトマンセンターは、どういった経緯で作られたのでしょうか?

2010年4月にサッカーショップKAMO原宿店がリニューアルした時に、目玉の一つとして作られました。このクラフトマンセンターは日本にしかなく、大阪のサッカーショップKAMO梅田店でも同じサービスが受けられます。

—どんなサービスが受けられますか?

人気があるのはシューズに名前を入れるサービス。刺繍やレーザー加工で自分の名前を彫ることができます。あとは、購入したシューズを自分の足に合ったサイズに調整するフィッティング。シュータンの固定や踵の補強、ほかには幅を広げたり、革の伸びを抑えるようステッチをかけたりする、といったことができます。あとはシューズのリペア。履きなれたシューズの破れなどを補修するサービスです。あと、オリジナルインソールの製作。足の形と圧を測り、早くて1時間で作ることができます。足の土台となる部分をしっかりすることで、プレーにも安定感が出てきますね。他には、アパレルのマーキング(ネーム入れ)があります。フィッティングやリペアだと安いもので470円(税抜)円です。スパイク刺繍だと350円(税抜)~で、時間も20分程度です。adidasのシューズでしたら基本的に対応可能です。
adidas CRAFTMAN CENTER
3. 持ち込まれたスパイクが並べられた棚
4. スパイクの幅を調整するための特殊な木型
利用する
—どういった方が利用していますか?

小学生から80代の方まで、幅広い年代の方にご利用いただいております。中でも中高生から大学生でプレーしている方が多く、もう少し上の世代の方だとレフェリーの方もいます。

—世代によって、シューズに対するこだわりは違いますか?

履き方は変わってきていると思います。昔は天然皮革のシューズをタイトに履いて、履きながら伸ばす方が多かったので、30代以上の方はタイトめに、逆に最近の学生の方は少し余裕を持って履く傾向があります。天然皮革だと手入れが大変なので、最近は人工皮革のシューズを選ぶ方が増えています。人工皮革のシューズも、昔に比べると天然皮革のものに近い柔らかいものが多く、履きやすくなりました。
adidas CRAFTMAN CENTER
5. 専用のミシンを使い革の伸びを抑えるステッチをかける
6. シューズの汚れを落とすための機械
足型を知る
—初めての方が利用するには、どのサービスがおすすめですか?

まずは、無料でできる3Dの足型計測サービスですね。測ったデータをもとに、その人に合ったシューズをご提案させていただくこともできますし、必要な場合は調整もできます。実際に測ってデータで見ると、自分自身の足のことを知るきっかけにもなるので、気軽に試してほしいです。フィッティングの調整もいざやってみるとその違いを実感する方は多いですね。汚れを落とすケアも気軽に活用していただけると思います。あとは、昔履いていた思い入れのある一足を持ってきてもらい、また履けるようリペアに出してみるのもいいですね。

—それはいいですね!実際に古いシューズを持ち込まれる方はいらっしゃいますか?

以前、年配の方で30年前のシューズをお持ちいただいたことがありました。実物を見ると劣化がひどくて直せるものではありませんでしたが(笑)。これはこれで貴重なものなので、そのままお持ち帰りいただきました。人によっては好きなモデルが様々ですね。特に昔のシューズは現在と構造も違うので、それを見るのが楽しいです。

—シューズの機能が進化していく中で、リペアの方法も変化していますか?

人工皮革のシューズは元々ステッチがありません。例えば、破れの補修をする場合はステッチをかけることで見た目が変わってしまいますが、リペアはできます。最近はアッパーのバリエーションが増え、ニット素材のスパイクは特に悩みどころですね。シューズの進化は嬉しいので、リペアにおける壁をどう乗り越えるかが、私にとってのやりがいでもあります。
adidas CRAFTMAN CENTER
8. 新しいスパイクを選手の足に合ったサイズに調整する
adidas Craftsman Center
adidas.jp/craftman/
Credit
Photography : Gottingham
Text : Takashi Ogami / SHUKYU Magazine