SHUKYU

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2020.6.1

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雑誌が誕生するまで|About SHUKYU #1

雑誌が誕生するまで|About SHUKYU #1

2020.6.1

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雑誌が誕生するまで|About SHUKYU #1

SHUKYU Magazineを創刊して、5/23で5年が経ちました。noteを始めたのに全然活用できていなかったので、今日はSHUKYUの活動について、これまでの振り返りも兼ねて書いてみます。

1. はじまり

1993年のJリーグ開幕以降、日本サッカーは急速な成長を遂げ、日本を代表するスポーツの一つとなりました。サッカー界が大きく変化していく中、試合結果や選手の移籍情報といった旧来のサッカー雑誌が扱っていた役割は徐々にウェブが担うようになり、サッカー雑誌も少しずつ変化してきました。

そんな中、2010年ごろからヨーロッパやアメリカを中心に、これまでの古い価値観に飽き飽きしていた20〜30代の若者が立ち上げたサッカー雑誌やブランド、コミュニティが誕生し、新たな流れが起きていました。

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中でも多くの人に影響を与えたのが、イギリスで2010年に始まった『Green Soccer Journal』(2016年に終了)です。これまでのサッカー雑誌とは異なる洗練されたビジュアルやデザインはもちろん、取材対象も選手や監督に限らず、マスコットやスタジアムをいったサッカーの周辺にある様々なカルチャーを取り上げ、中学生以来サッカー雑誌を読むことがなかった自分にとって、この雑誌との出会いはSHUKYUの誕生に大きな影響を与えました。

世界中で新たなムーブメントが起きている中、日本のサッカー雑誌は旧来の試合結果や戦術、ビジネス寄りのものが多く、自分が読みたいサッカー雑誌がない状況は変わりませんでした。だったら自分で雑誌を作ろうと思ったのが、SHUKYUが始まったきっかけです。

2. 1993年のJリーグ開幕

私自身は大阪で生まれ、小学3年の時にJリーグ開幕を経験し、テレビの中に映し出される華やかな世界に憧れた、当時日本のどこにでもいた典型的なサッカー少年でした。

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同じ大阪とはいえ、ガンバが拠点とする吹田は地元から電車で2時間弱かかることもあり、最初はテレビでよく観ていた全盛期のヴェルディ川崎、そして1995年にセレッソ大阪がJリーグへ加盟してからは、地元からもそこまで遠くないセレッソを応援するようになしました。

選手としては、中高は部活で汗を流し、大学はサークルでプレーしていたものの、サッカーへの関心は徐々に薄れていき、ファッションや音楽・アートなどのカルチャーに興味を持つようになりました。

3. 雑誌から受けた影響

当時は今ほどSNSが主流ではなかったので、自分が興味のあるファッションやカルチャーに関する情報は、雑誌から得ることがほとんどでした。特に自身に影響を受けたのは『STUDIO VOICE』や『流行通信』といった雑誌で、バックナンバーを探しにひたすらいろんな古本屋を巡っていました。

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最初は情報を得るための一つの手段だったはずが、次第に雑誌を作ること自体に興味を持ち始め、就職活動もろくにせずに自分が好きな雑誌を作る出版社に履歴書をひたすら送っていました。そういった出版社は規模が小さいところが多く、中途採用しか募集していなかったのですが、ダメもとで送り続けていたら、東京のある出版社から経理・総務職であれば新卒の枠が空いているという返事があり、自分が興味のあるのは雑誌が作られる現場だけど、小さい会社だから行けばなんとかなるだろうという思いで東京へ引っ越しました。

ただ、現実はそんなに甘くなく、何度か社長に現場で働きたいと直談判したものの、経理・総務職のスタッフを一から育てたいという会社の方針は変わらず、悶々とした日々を過ごすことになり、結局その出版社を2年で辞めることになりました。

4. 原宿のフリースペース『VACANT』

ちょうど会社を辞める前に、原宿に新しいスペースを作る話を友人から聞き、空間を使って自分がやりたいことを実現できるのではないかと思い、すぐに参加することを決めました。それが、2019年末にクローズした原宿『VACANT』です。創設の2009年から2016年に独立するまで、ライブや展示、トーク、ワークショップなど、様々なジャンルのイベントを企画しました。関わってきたイベントやプロジェクトをまとめているので、興味がある方はのぞいてみてください。

https://takashiogami.com/

VACANTで関わったイベントやプロジェクトを通じて、一から何かを作り上げていくことの面白さ(もちろん大変さも)、イベントや空間を通じて編集という行為についてたくさんのことを学びました。また、様々なジャンルのイベントに関わったことで自分自身の引き出しや視点が増え、そこで生まれた多くの出会いが、SHUKYUの根幹となる部分の形成に大きく関係していきます。

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5. 3/11のチャリティマッチ

東京に引っ越してからは、周りでサッカーをする友人が少なかったこともあり、プレーはおろか観戦も日本代表の試合があれば観る程度で、20代前半はサッカーとの距離が年々遠くなっていました。

そんな自分にとって、再びサッカーに興味を持つ一つのきっかけになったのが、東日本大震災が起きた後に行われたチャリティマッチでした。

仕事もストップしたまま不安な毎日を過ごしている中で、チャリティマッチがあるということで友人の家に集まってテレビ観戦しました。試合内容はそこまで覚えていないけど、三浦知良選手のゴールは今でも記憶に残っています。そして、この時にサッカー(スポーツ)が社会に与える影響の大きさを改めて強く感じ、すぐにではないけどいつかサッカーにまつわることをしたいと、漠然と考えるきっかけになりました。

6. サッカーにまつわるトークイベント

それからしばらくは具体的なアクションを起こすことはありませんでしたが、2014年に初めてサッカーにまつわるイベントを企画しました。

テーマは『サッカー選手のセカンドキャリア』。選手のファンイベントをやっても面白くないし、自分が普段やっているような感覚で楽しめるイベントを企画できないかとリサーチしていたところ、サッカー選手の平均引退年齢が26歳だということを知り、当時20代後半だった自分もこれから仕事をどうしようかと思っていた時期だったので、引退したら指導者や解説者のイメージしかないサッカー選手は、実際どうなのかという興味から、ブックディレクター/編集者の山口博之さんと企画することになりました。

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当然サッカー関係の知り合いもまったくいなかったのですが、友人づてで元ヴェルディ川崎の石塚啓次さんに初回のゲストとして出演していただくことになりました。ご存知の方も多いと思いますが、石塚さんは選手を引退後、アパレルブランドを立ち上げ、現在はバルセロナでうどん屋『宵々祇園』を経営されています。

当時はアパレルブランドを辞めて、バルセロナに移住する前だったので、セカンドキャリアというよりはサードキャリアが中心でしたが、まだテレビにもあまり出られていない時期だったこともあり、自分にとってはサッカー選手の裏側を知ることができた貴重な経験でした。

その後は、中田世代の天才と呼ばれた財前宣之さんやアトランタ五輪代表の松原良香さん、そして現在解説者として活躍されている戸田和幸さんにはシンガポールで引退を発表した直後に出演していただきました。

また、同じ時期に新国立競技場のコンペが行われ、ザハ・ハディドの案がひっくり返ったり混沌とする状況の中で、そもそもスタジアムの役割についてもう少し考えた方がいいんじゃないかというところから、『都市とスタジアム』というテーマで、サッカー、建築、メディアなど様々な方と一緒に理想のスタジアムのあり方を考えるトークシリーズをTOO MUCH Magazineと一緒に企画していました。

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7. サッカー雑誌を作ろう

その後もサッカーにまつわる映画上映や展示などを企画し、サッカー熱が高まっていく中で、新しいことに挑戦したい気持ちが芽生えてきました。

ただ、それはこれまで自分が携わってきたイベントでも、カルチャーに関係することでもありませんでした。

そんな時期に、世界で新たな流れが生まれる中で日本に新しいフットボールカルチャーが生まれるきっかけを作りたいという思いと、雑誌を作った経験はないけど、イベントを通じて培ってきたことを雑誌という形で落とし込めるのではないか、という根拠のない自信が重なり、サッカー雑誌を作ろうと心に決めました。ここからSHUKYUとしての活動が始まります。

Text by Takashi Ogami(SHUKYU)

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